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×××宇伽さん宅 アルバローズくん
焼蕎麦さん宅 アリスちゃん(お名前のみ)
あめだまさん宅 シェルロッタちゃん(お名前のみ) お借りしました。
ゆらゆらと揺らめく淡い光の海の中、どこかから悲鳴が聞こえる。
助けて、助けて、助けて
恐怖と焦燥の入り混じった悲鳴がずっとずっと同じように「助けて」と繰り返す。
とても可愛い声。悲鳴は甘露だ。聞いていると気持ちがいい。
自然と口の端が持ち上がるのがわかる。
ここは夢の中。
どこにでも繋がっていて、どこにも繋がっていない世界。
助けようと思えば助けられるが、そんなことをしたらアリスに何をされるかわかったものじゃない。
「・・・まだ命がおしいかんなぁ・・・」
悪いな、人間さん。
アリスに目をつけられた時点でもう命がないにも等しいのだから。
あふ、と一つ欠伸をして意識を表へとだす。
ふっと開けたまぶたの向こう、なんだかちょっと疲れたようなアルバがみえた。
先ほどまでアリスとともにいたのか、それともシェルロッタにでも振り回されたのだろうか。
ぼんやりとなんともなしに眺めていたら、その視線でアルバもこちらに気付き、近くまで寄ってきた。
「お早う、か?アハト」
「アリスがまたやらかしたな」
挨拶を無視してそう声をかけると、僅かに驚いたような表情になった。
「みてたのか?」
「いや・・・悲鳴が聞こえた。人間の、女。助けてって繰り返して、つぶれた」
あふ、とまた一つ欠伸をする。
うつらうつらとする頭のどこかでまた泣き声。
「人間は、迷う。迷って泣き叫んで恐怖に怯えて焦燥にかられて、そして死に至る。その声が夢殿を通じて俺に響く・・・だからみえるのとは、ちがう」
「へぇ・・・いっつも寝てるのはそれが理由か?」
「それだけじゃ、ねぇけど・・・まぁ、夢ってのは・・・都合が、いいから」
時間軸さえ関係ない。それは夢だから過去も未来もなにもかも関係なしに流れ込む。
それを区別してどの時期に何が起こったのかを理解できるのは一重に己の能力がゆえ。
そしてまた、意識が夢の中に引きずり込まれる。
制御する気のない己の力に身をゆだねて、そのまま夢の中へと堕ちていく。
「――・・・・?」
どこか遠くでアルバが何か言うのが聞こえたけれど、もうそれは意識に残らなかった。
またどこかで泣き声がする。
可愛くて憐れな、人間の悲鳴が。
さぁ、今度は気持ちいい夢へと招待してあげようじゃないか。
甘美で不幸せな、夢の世界へ。