手ブロ企画用ブログです。
小話をのろのろと書いてます。裏話やIF話も含みます。
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はじまりのおはなし
始まりの話をしようか。
この世界は、とてもきれいだった。
きれいで、それでいて闇が深かった。
まるで、光に群がる虫たちのように、きれいなものには必ず闇がついてまわった。
きれいなものが守りたくて、きれいなものをそのままにしておきたくて、誰かがこう言った。
『闇は払えばいい。強い光で、闇さえできぬようにしてしまえばいい』
誰かが言ったそれに、ほとんどが同意の声を上げた。
だけれど、それではだめだ、と静かな声で遮ったものがいた。
『闇がなくなってしまえば、休める場所を失うものがいる。適度に闇を払いつづければよい』
そういった静かな声は、静かになった場にそっと言葉をつづけた。
『面倒だ、手間だと思うだろう。だけれど、闇もまた世界を構成する一部だろう。だから』
だから、私がその手間を、責任を負おう。
そういって、その声の持ち主は、鮮やかな青色を残して地に降りた。
それが、はじまりのおはなし。
この世界の、仕組みが決まった、そんなおはなし。
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