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手ブロ企画用ブログです。 小話をのろのろと書いてます。裏話やIF話も含みます。
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花うなぎさん宅・牛尾さん
華璃亜さん宅・一色さん
トシアキさん宅・公斗くん   お借りしました!
 
時間がなくて小説になってしまったこと、関係者皆様にお詫び申し上げます。
本当に申し訳ございません…。
 
緋鬼討伐隊はそれぞれの視点でかかれています。リレー形式ではありません。


 

 

 

「こんなものかな」
 
ふわり、と足元近くにまで伸びた髪をなびかせて、温羅は一つ頷いた。
人質の救出のため、緋鬼のおとりを買って出た温羅は、普段は絶対にしない『女性体』へ変化していた。
 
「…微妙に落ち着かないかも」
「へぇ!可愛いじゃないか」
 
感嘆の声をあげた一色は、温羅の頭をぽんぽんと叩いた。
 
「・・・なに?」
「もっとこう、愛想良く笑いな。でないと緋鬼に怪しまれるよ?」
「……愛想よく?」
 
くい、と首を傾げる。
愛想よく、と言われても『どの程度』が愛想良く、なのかがわからない。
すくなくとも人間時の自分の態度は愛想よく、とは違う気がする。
 
「なんなら誰か練習相手につかったらどうだい?」
「ん」
一色の提案にコクリと頷いて、近くにいた牛尾に目を留めた。

あらぬほうを向いてなにやら考え事をしているようだが、構わず近づいて腕を絡める。
それに気付いて此方を向いたのを見計らってはにかんだように笑ってそろ・・・っと見上げた。
 
「あの・・・・・・どうでしょうか・・・?」
 
牛尾はぱちり、と一つ瞬いて、温羅の後ろ髪を掬い上げた。
 
「長い髪の女は好きだが、できれば黒髪のほうがいい」
「・・・・・・・・・・・・少しは動じてよ。つまらないじゃないか」
 
あまりにも平然と感想を言われて、温羅は不満げに頬を膨らませる。
それをみた牛尾は可笑しそうに少しだけ笑った。
 
「温羅!そろそろ行くよ!」
「あ、うん。今行く!」
 
一色に呼ばれ、するりと牛尾の腕に絡めていた身体を離して駆け出した。
 
「緋鬼は任せたぞ」
「え、」
 
後ろからかけられた声に振り向くと、思いのほか真剣な顔をした牛尾がこちらを見ていた。
かけられた言葉をすぐには呑み込めずにきょとんとした温羅だったが、意味を理解すると同時ににやり、と不敵に笑った。
 
「任せなよ。べろべろにしてやるからさ」
 
ふわ、と今度こそ着物の裾を翻して温羅は一色のところまでかけていく。
緋鬼の居場所はわかっている。そして緋鬼の目的も大体はわかっている。
温羅たちのすることは、ただ一つ。
緋鬼の注意を引いて、人質を助けること。
 
「お気をつけて・・・!」
 
あとから合流する公斗に見送られ、一色と二人緋鬼の元へと向かう。
 
(腕のみせどころ・・・ってね)
 
たとえ相手がけむくじゃらだろうと、『八雲組』を守るためだ。耐えなくては。
 
 
 

― ― ―
 
 
 
 
 
浴びるように酒を次々と消費していく緋鬼の傍に寄り添って、同じように酒を飲みながら、内心呆れる。
 
「(……ほんっとーに酒と嫁探しにきただけかよ)」
 
いっそ此処まで清々しいとあっぱれと拍手を送りたいが、生憎と八雲組の本部を緋鬼に渡すわけにも、此処にいる女連中を嫁にさせるわけにもいかない。
 
「酒はうまい、嫁もいる。最高だなぁ!」
「ふふ、そうですか? ささ、遠慮なさらずどうぞ・・・」
 
空になった緋鬼の杯へすかさず酒を注ぎ、大量の酒を飲ませ続ける。
機嫌のいい緋鬼は、どんどん酒を消費しているため、かなりの数がすでに空になっている。
だが、それでいい。
途中で緋鬼と合流した公斗――女装が妙に似あうのが神秘だ――は、どうやら緋鬼に気に入られた様子だった。
緋鬼と同じように酒を口にしていた温羅は公斗と視線を交す。
 
「どうやら緋鬼は俺を気に入ったらしい・・・ここは俺に任せてお二人は人質のほうへ・・・!」
 
小声で囁かれた言葉に、コクリと頷いて一色へ視線を向けると、一色も頷いてする、と優雅に立ち上がる。
 
「緋鬼様・・・もうお酒がなくなってしまいそうです」
「おぉ、久しぶりの美味い酒だったから、一気に飲んでしもうたな」
「じゃあ、あたしたちが」
「追加のお酒を取ってまいりますね」
 
公斗のさりげない言葉にあわせ、温羅と一色は素早く行動を開始する。
彼一人で緋鬼の注意を惹いてられる時間はそう長くはない。
温羅たちは陣幕からでると、すぐ隣――人質の集められている場所へと急ぐ。
仕切りのかわりの垂れ幕を手で払い中へはいると、何人かが縄で縛られていた。
 
「あら・・・・・?」
 
そのうちの一人が顔をあげてそれからふわりと笑う。
その笑顔に温羅はつめていた息を少しだけ吐き出した。
 
「清香」
「助けにきてくださったのですね。申し訳ございません。それにしても、その姿・・・」
「しぃ。あとでね。静かにしてて。気付かれたらまずい」
 
清姫が頷いたのを確認して、懐に忍ばせていた小刀で縄を切り裂く。
他の人質も同じように解放し、残っているものはいないことを確認する。
 
「みんなあたしについといで!急いで逃げるよ」
 
一色を先頭に、確保してあった脱出ルートから人質を逃がす。
温羅はもう残っている者がいないかどうかを確認すると、すぐにそのあとを追った。
 
 
 
 
 
 

 

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絵は嗜みというか趣味というか。
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