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くるり、とダンスをするように一回転した美代は、その出来に満足げにうなずいた。
「うん、これでよし。ね、月野。これで二十歳くらいにみえるでしょ?」
「えぇ。変化がお上手ですね、美代さん」
「ふふ、まぁね」
常と変らぬ微笑みを浮かべた夜は、やれやれ、とためいきをついた。
「人間というものは浅はかなりけり、ですね。考えることが、傲慢すぎる」
「それが人間っていう種族なんだから仕方ないんじゃないの?」
「それでも、です。幾度となく同じことを繰り返して、何が楽しいのでしょうね」
「…人間の業でしょ。それこそ、あたしらと相いれない理由だ」
渋い顔をして美代はつぶやく。
それに気付いた夜は、「あ、」と声を漏らして苦笑した。
「すみません、貴方に言うことではありませんでしたね」
「別に。もう、諦めてるからいいよ」
ふい、と顔をそむけて美代はため息をついた。
過去にとらわれたところでどうにもならぬことだ、と美代自身がよくわかっているからだ。
それをわずかなりと知っていたのに、うかつな発言をしてしまった、と夜は申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「あまり、ご無理はなさらないほうが」
「いいんだって。人間は弱くてもろくてそのくせ傲慢で。だから、あたしらは身を守るためには退ける必要があるんだよ」
そのためであるならば、どんなことでもする。
そう言って美代は笑った。すこしだけ、悲しそうに。
そのうちに宿る思いが何であれ、決意をしているのならそれを邪魔するwけにはいかぬ、と。
「そうですか。なら、ご助力いたしましょう」
「うん。戦闘なら任せて。体力には自信あるんだ」
「ふふ、期待しております」